おじいちゃんおばあちゃん子
学生時代にチャラチャラと浮かれて過ごしていた当時の私には、なんとなく華やかな世界への憧れがありました。一流企業に就職が決まり、綺麗な服を着てドラマに出てくるようなオフィスへ通う友達が羨ましくって。昔はおじいちゃんおばあちゃん子だった私…世の中で高齢化が進んで、全国に介護施設がどんどん増えているのはニュースとかでぼんやりと知っていたけれど、いつしか目の前の楽しいことに気持ちが傾き、「高齢者」とか「介護」という話題が遠い世界のことのように感じていました。正直に言うと、介護の仕事に対して「3K(きつい、汚い、給料が安いもしくは危険)」というマイナスイメージさえ持っていました。
就活に失敗して落ち込でいたある日、母から夕飯の席で勧められたのが介護の仕事でした。部屋に戻ってベッドでぼんやりとそのことを考えていると、祖父母や、しばらく会っていない親戚のおじいちゃんおばあちゃん達の顔が頭に浮かんできました。もう亡くなっている人もいます。「そういえば法事のあとの食事会で、私が調子に乗って変顔をしたり、動物のモノマネをしたりするのをみんなニコニコ笑って見てくれていたな。ちょっとしたお手伝いをするだけでも、すごく喜んでお小遣いをくれたっけ。お年寄りのお世話をする仕事か…悪くないかも!」という思いで「よし、探す!探すぞ!!」と決断したのです。
楽天的で前向きな本来の自分が少しずつ蘇ってくるのを感じました。こうして私の介護の仕事探しが始まったのでした。